スタジオ・レダ・コラム

ジョージ・マーティンのこどもたち

ジョージ・マーティンのこどもたち

ライブの再現ではなく、実際にはありえない、レコードでしか聴けない音楽。 それは、アビーロード・スタジオでレコーディングされたビートルズのアルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリーハーツ・クラブ・バンド」からはじまりました。 現在、私たちが当たり前に使っている様々なレコーディング手法は、その時に生まれたものの応用で、 この作品がなかったら、聴いたことのない音や新しい音楽は生まれなかったかも知れません。 そう、私たちも私たちの作品もビートルズと同じ様にみんな、 ジョージ・マーティンのこどもたちなのです。

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#2 最高のレコーディングテクニックとは? / #1 アナログ・ドラム・サウンド / 

第一回「アナログ・ドラム・サウンド」(1/2)

はじめまして

スタジオ・レダのエンジニア、水谷勇紀

初めまして。スタジオレダでエンジニアをしています水谷勇紀といいます。
このコラムでは、最近行なわれたレコーディングの中から一つをピックアップして、実際に音を聴きながら、レコーディングの現場で行なわれていることや、打ち合わせでよく質問されるようなことを説明していきたいと思います。
実際の作業中にはなかなか時間がゆっくり取れないので説明したり答えたり出来ないんですよね。「こういう音にしたい、というイメージはあるんだけど言葉で上手く説明できない…」というのはミュージシャンの方からよく聞く言葉ですが、少しでも参考になったらうれしいです。

music3

ミュージックキューブ

第一回で取り上げるのは、マンダラグループが新しく立ち上げた配信レーベル 「music3(ミュージック・キューブ)」で2009年9月2日から配信されているOTOTOI GROUPの「HIRE」です。
6つのライブハウスと喫茶店、そして2つのスタジオからなるマンダラグループですが、そこにはたくさんの素晴らしいアーティストと音楽が溢れています。その中から面白いアーティストをどんどん紹介していく「music3」を是非注目してみてください。

OTOTOI GROUP

OTOTOI GROUP

OTOTOI GROUPは、スタジオ・アルファ・ベガから推薦されたアーティストです。
やりたいことや新しいアイディアが溢れてきてしょうがないという感じや、普段もみな仲の良い雰囲気がとても楽しそうな5人組です。
OTOTOI GROUPの一番の魅力は、「歌詞」と「声」です。そこで、サウンドもそれをいかに引き立てられるか計算して組み立てなくてはなりません。
その中で今回はドラムの音を取り上げてみたいと思います。

ドラムの音がサウンドの方向性を決める

エンジニアから見てドラムの音はバンド全体のサウンドのカラーや方向性のほとんどを決めてしまうとても重要なパーツになります。
それ以外の例えばギターやキーボードは演奏者がほぼ完成した状態にしてくれるため、合わせるだけでも十分成立するのに対して、ドラムは同じ音をドラマーが出していてもエンジニアの録り方次第で全然違うものになってしまいます。
今回の場合は、まず「声」のことを頭に入れつつ、最初に聴かせてもらったデモ音源のイントロのオルガンのイメージを元に、全体のサウンドを組み立ててみようと思いました。

チューニング

そこでまず大事なのは楽器のチューニングです。
実際にはこの曲は2曲目に録音したのですが、最初の曲を録音する時に、この曲を見越してスネアのチューニングをやや高めにしてもらいました。
なぜならこの曲は低めにしたかったのと、できあがる2曲のカラーを大きく変えたいと考えたからです。
言うまでもないことですが、マイクやコンプをいじるより楽器そのものの音を変える方がはるかに簡単にイメージに近づけます。
ドラマーの方に説明して協力してもらいながら、チューニングやミュートの感じを変えてもらうことはとても大切です。

<続く>